靴ずれについて思い出したこととちょっと考えたことを書きます。
紳士服のビジネスパツンの裾内側には「靴ずれ」が付いています。
下の写真のようなやつです。
靴の踵に常にぶつかっているパンツの裾が擦り切れるのを防ぐためです。なので、裾の下端から1ミリほど外に見えています。
パンツを平らに置いてみましょう。
1ミリほど見えています。
何年も前になりますが、小売店のお直しコーナーに勤めていた知人に聞いた話です。
紳士服の裾上げで、このように仕上げてお渡ししたあと、「靴ずれが見えていることはおかしい」とクレームが来ることがあったそうです。それも1件2件ではなく。
裏側に付いているものが表から見えることが不自然に映ったのでしょうか。
結局裾上げのお直し全部を靴ずれが見えないように裾線ギリギリになるように仕上げることに決まったそうです。
時代は移り変わって、最近では、短め丈パンツをよく見かけます。
このように短いパンツ丈ですと、靴ずれは意味が無いような気もしますし、下から見えないほうが見栄えがスッキリします。そうなると付けなくてもいいかもしれません。
もっとも、紳士服の決まりやこだわりは厳格なものがあるので、その点を取り入れたい場合は、紳士服専門の縫製技術者とご相談なさるといいでしょう。